ご挨拶
この4月から弁護士として勤務しています。
この3月までは、検察官として大阪や各地の検察庁で勤務していました。
ですので、刑事事件の手続には、この3月までと逆の、検察官と相対する立場で関わることになります。
刑事事件の手続では、検察官と弁護人が法廷で対立して火花を散らすようなイメージを持っておられる方も多いと思います。
実際に、私も検察官として、法廷で、被告人が有罪か無罪かについて、弁護人と互いの主張をぶつけ合ったことが何回もありました。
もっとも、検察官だった時がいつもそうだったわけではありませんでした。
被疑者や被告人の弁護人が示談交渉をする際に被害者に示談交渉を勧めたことは何回もありました。
また、被疑者の弁護人との間で、今後の被疑者の更生のためにどのような処分が適切かを議論したこともありました。
一方、家族にも被害に遭ったことを話すことができずにいた被害者には、被害者代理人の弁護士をつけてもらい、その弁護士には最後まで被害者に付き添ってもらったこともありました。
また、性被害に遭った被害者に対して、代理人の弁護士と一緒になって、裁判所で意見を述べることができるように準備したこともありました。
個人的には、検察官であっても弁護士であっても、基本的人権を保障することをはじめとして、依って立つ刑事手続の基本的な理念や方向性にはそれほどの違いはないのだろうと思います。
この4月から弁護士として刑事手続に関わることができる立場になりましたが、これからも、検察官と互いに主張をぶつけ合うことだけでなく、被害者に必要な保護を講じることや、被疑者、被告人が再犯を繰り返さないように更生させること等も含んだ、広い意味での刑事手続に携わっていきたいと考えています。