贖罪寄付について
大阪弁護士会館には弁護士ごとにポストが設けられており、私も、大阪弁護士会館に行くついでにポストに何か入ってないかを確認することがあります。
ある日、ポストの中を確認すると、大阪弁護士会から、贖罪寄付の利用を呼び掛けるチラシが入っていました。
贖罪寄付は、被害者のいない犯罪や、被害者がいても処罰感情がとても強く、示談はおろか被害弁償金の一部でも受け取ってもらえないような場合に、示談金を支払う代わりに寄付をすることを言います。
贖罪寄付は、日弁連をはじめ、大阪弁護士会などの各地の弁護士会、日本司法支援センター(法テラス)、日弁連交通事故相談センターや各地にある更生保護施設、犯罪被害者支援団体や薬物等依存者自助グループなどで受け付けられています。
先ほどの大阪弁護士会のチラシによれば、「刑事贖罪寄付金は日本弁護士連合会及び当会(引用者注・大阪弁護士会)の法律援助事業基金に充当されます。当会においては委託援助事業への上乗せ加算及び当会の自主援助事業の財源として利用されます。」と、日弁連や大阪弁護士会による法律援助事業の財源になることが書かれています。
具体的な法律援助事業の対象は、犯罪被害者や子ども、難民、外国人及び高齢者、障害者、ホームレス等であるそうです。
そして、同じチラシによれば、「事件への反省を込めてなされる贖罪寄付は情状の資料として評価されています。」と、贖罪寄付をすることで被疑者の処分や被告人の刑罰について有利に評価されることが書かれています。
実際には、贖罪寄付は、示談が成立して示談金を支払う場合ほどには有利に評価されるものではないようですが、一定程度、被疑者や被告人に有利に評価されるようです。
もっとも、被疑者や被告人が贖罪寄付をするにしても、弁護士や周囲の人に贖罪寄付を勧められて、勧められた寄付先に寄付をした、というのであれば、主体的に考えて贖罪寄付をしたとはいえず、被疑者や被告人にそれほど有利に働くものではないと思います。
例えば、スーパーでの万引きの事件で、スーパーが運営会社の方針として示談や被害弁償を受け付けないことになっていて示談や被害弁償ができないので、せめてスーパーの運営会社が行っている慈善事業に寄付をしたいとしてその慈善事業の財団に寄付することにしたといった経緯について、被疑者や被告人が自身で説明できるようにしておく必要があるように思います。