最初の事件

 現在、私は大阪の事務所で弁護士として執務していますが、その前は検事として全国各地で執務しておりました。

 検事になって初めて担当した事件は、外国人の不法在留事件でした。

 その事件の被疑者である外国人が偽造旅券を所持していたことから、不法在留が発覚したという事件であり、その被疑者の弁解録取を行いました。

 通訳の先生についてもらって、初めに逮捕事実を読み聞かせて認否を確認したところ、被疑者は一応事実を認めました。

 そして、どのような手段で日本に入国したかを聞くため、持っていた偽造旅券について、どうやって手に入れたのかを聞きました。

 すると、被疑者は「拾った」などと答えました。

 嘘であり、被疑者にまともに答える気がないことは明らかでした。

 私は、いくら弁解録取でも、そのままで引き下がるわけにはいかないし、第一、日本の刑事司法がなめられていると思い、どうにかして偽造旅券を入手した経緯を聞こうとして、あの手この手で被疑者に質問し続けました。

 すると、初めは「拾った」などと言っていた被疑者も、「香港の街中で拾った」、「知らない人にもらった」、「その人にお金をいくらか払った」などと、少しずつ話すようになりました。

 最後には、どうにか、出入国ブローカーにお金を払って偽造旅券を作成してもらい、それを香港で受け取って日本に入国した、という話まで引き出すことができました。

 そこまで話を引き出すのに1時間以上はかかっていました。

 その事件は、その後公判請求した記憶があります。

 その後も私は、検事として大小さまざまな事件を担当しましたが、実は担当した事件の中でも、最初に弁解録取した事件が一番印象に残っています。

 初めての事件で緊張もしていましたし、それだけ必死にやっていたのでしょうね。

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