示談交渉を持ち掛けられたら

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 被害者との示談交渉は、刑事弁護人の重要な役割の一つです。

 刑事弁護人の立場からすると、被害者との示談をまとめることで、被疑者の処分を免れ、又は軽減させることを目的としており、そのために被害者に大阪の事務所まで来てもらったり、被害者の許に伺ったりして示談に関するお話しをすることになります。

一方、被害者の立場からすると、これまで被害に遭わせた犯人を許せないと思っていたところ、弁護士から示談してほしい、犯人を許してほしいなどと持ち掛けられるのですから、どうすればいいのやら困惑することもあると思います。

 実際に、私も、検察官だった時、捜査や公判を担当していた被害者から、弁護士から示談を持ち掛けられたけれど、どうすればよいかなどと相談を受けたことが何度もありました。

 その際、私は、検察官という公務員の立場で示談を勧めたり勧めなかったりすれば中立性を害してしまうので、示談を勧めたり勧めなかったりするような回答はしませんでした。

 もっとも、被害者が示談に応じれば受け取る示談金は、民事事件でいえば不法行為に基づく損害賠償に当たるものですので、被害者が示談に応じた上で示談金を受け取ることは当然のことであり、問題がないことはお話ししていました。

 そのような話は、私に限らず、多くの検察官がお話ししていたと思います。

 また、私がそのようにお話しすると、多くの被害者から、示談に応じれば犯人に有利になってしまうのではないか、犯人が不起訴になってしまうのではないか、などとご質問を受けることがありました。

 確かに、検察官の立場からしても、示談がまとまることで被疑者が不起訴になるかどうかはともかく、被害者に謝罪も弁償もせずに放置しているよりも、示談により謝罪や弁償をする方が、被疑者には有利になることは、そのとおりです。

 私は、被害者に対して、示談がまとまることで被疑者に有利になる可能性があること、その上で示談交渉に応じるかどうかは自由であることをお話ししていました。

 では、弁護士の立場だと、被害者から示談交渉に応じるべきか相談を受けたらどう答えるべきでしょうか。

 通常は、被害者のお考えやお気持ちをよく伺って、それに沿ったお答えをすることになるのでしょうが、私なら、示談交渉に応じる方向でお答えするのだろうと思います。

 なぜなら、被疑者が被害者との示談をまとめようとするのは、被疑者の処分を免れ、又は軽減させることを目的としており、言い換えると、被疑者は処分が決まると示談金を支払おうとすることは、まずありません。

 処分が決まった後で、被害者が被疑者に民事の損害賠償請求をすればいいのではないか、とも思われますが、示談交渉と比べると、時間も労力も使いますし、被疑者が損害賠償金を支払うことも確実ではありません。

 そうすると、被疑者が被害者に示談金を支払う姿勢を示しているうちに、示談交渉に応じる方がいいということなります。

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