大阪の弁護士事務所において、ある企業犯罪について相談を受けました。
一般には、企業犯罪においては、警察や検察といった捜査機関による捜査のほか、企業自身によ
・・・(続きはこちら) 大阪の弁護士事務所において、ある企業犯罪について相談を受けました。
一般には、企業犯罪においては、警察や検察といった捜査機関による捜査のほか、企業自身による社内調査が行われることが多いです。
このような捜査と社内調査について、被疑者(又は社内調査の対象者)の弁護人の立場から見た主な違いは、以下のとおりです。
1 黙秘権の扱い
捜査において、被疑者には憲法上の黙秘権が完全に保障されています。
弁護人は、不利な供述を避けるために「終始沈黙すること」をアドバイスすることができます。
一方、内部調査では、法的な黙秘権はありません。
多くの企業では、従業員に対し、「調査への協力義務(就業規則等)」を課しています。
弁護人としては、「話さなければ社内で懲戒解雇などの不利益を被るリスク」と「話した内容が後に検察へ提出 され刑事罰につながるリスク」との板挟みに直面します。
2 取調べへの弁護人の同席
捜査では、取調べへの弁護人の同席は原則認められていません。
もっとも、逮捕・勾留の阻止、連日の接見(面会)を通じて、違法・不当な取調べから被疑者を守ります。
一方、内部調査では、ヒアリングに弁護人の同席を認めるかどうかは、会社や調査委員会(第三者委員会など)の判断に委ねられます。
もし、同席を拒否されれば、弁護人は事前の打合せと事後のフィードバックのみでクライアントを守らなければならず、心理的プレッシャーをコントロールするのが難しくなります。
3 相手方との利害関係
捜査では、国家対被疑者・弁護人の構図がはっきりしています。
一方、内部調査では、会社がいわゆる「トカゲの尻尾切り」のように、個人の責任に帰して組織を守ろうとするケースが多々あります。
弁護人は、会社側の調査チーム(弁護士など)が「客観的な中立」を装いつつ、実際にはクライアントに全責任を押し付けようとしていないかを厳しく見極める必要があります。
4 成果物の使われ方
捜査では、取調べの際に作成された供述調書は裁判の証拠になります。
被疑者は署名押印を拒否することや、調書の内容を修正するように申し立てることができるので、弁護人はその点を指示してコントロールします。
一方、内部調査では、ヒアリングをまとめた「調査報告書」が作成されます。
これは後に警察や検察に任意提出(または告発)され、刑事事件の決定的な証拠として逆輸入されるリスクが極めて高いものです。
そのため弁護人は、内部調査の段階から「刑事裁判を見据えた発言の精査」を求められます。