否認事件と示談交渉
当事務所では、月に1回、刑事事件についての部会が行われ、私も、大阪の弁護士事務所からオンラインで参加しています。
今月、その部会の中で、愛知県弁護士会で行われた、示談交渉に関する座談会の記事について紹介がありました。
最近、担当していた刑事事件の示談がまとまったり、示談の申し入れをしたりすることが続いていたので、興味深くその記事を読みました。
その中で、否認事件、たとえば不同意性交等事件で同意があったと主張しているような場合に、示談をどこまでするかは悩ましい問題であるといった議論がされていました。
被疑者、被告人側や弁護人の立場からすると、事実関係をあいまいにして、迷惑をかけた、苦痛を負わせたお詫びとして示談金をお支払して、被害者に許しを請うというスタンスになるかと思います。
一方、被害者の立場からすると、事実関係を認めず反省していないのに、示談などできるか、示談金を受け取ったら被疑者が処罰されないのではないかと思い、示談することに二の足を踏むということもあるかと思います。
実際に私も検察官をしていた時に、担当していた否認事件の被害者から、被疑者の弁護人から示談の申し入れがあったけどどうすればいいのか、などと相談を受けたことがありました。
検察官という立場上、弁護人の弁護活動の妨害になるようなことはできませんので、私は、示談を受けたらどうなるかについて、被害者の質問にお答えした上で、最後は被害者自身で示談の話し合いを受けるかを決めるように促していました。
もっとも、否認事件で示談の話し合いが行われたとしても、示談がまとまることはそれほどなかったように記憶しています。
事実関係に争いのない自白事件であっても示談がまとまらないことはよくあるのですから、事実関係に争いがあればなおさら、示談交渉をまとめるのは大変だろうと思います。





